医療機関のネット活用

今月の頭に、RazorfishがRazorfish Healthという、医薬・医療・ヘルスケア業界向けのAgencyを新たに立ち上げました。以前から医薬業界というのは、法規制や広告表現上の制約など業界特有のマーケティングノウハウが必要なため、専門の広告会社がありましたが、デジタルマーケティングにおいても、専門性が問われるようになったようです。

http://www.razorfishhealth.com

日本だと、病院がクライアントになることは、美容整形など一部を除けば、ほとんどないわけですが、Razorfish Healthでは、医療機関もクライアントとなっています。医療制度の異なる米国ゆえに、企業化した医療機関においてデジタルマーケティングのニーズが大きいということなのでしょう。

考えてみれば、医療機関はIT化の恩恵を受けやすい環境にあったはずです。思い起こすと、90年代にMacユーザーのフォーラムにおいては、医師のMacユーザーが、幅を利かせてました。プレゼンテーションにMacを駆使し、病院内のデータ管理にITを導入するというのは、かなり早い段階から進んでいたと思います。ただ、日本の場合、カルテの電子化とその共有といったあたりから、動きが止まってしまっているように思います。患者の個人情報の共有という課題に対して、議論が進まないこともその原因の一端にあるかと思いますが、ネットワーク化による集合知の活用という点から、一歩前に進みださないと、日本は時代の変化の恩恵を受けられないまま、機会損失を被っているのではないか、と心配になります。
 
自身の日々の生活を振り返ると、今や病院探しや自分が処方された薬のチェックにネットの情報は欠かせません。薬に関しては、製薬会社や業界団体からの情報も多く、私の周りでも、小さい子供のいる母親たちの間では、処方してくれた医師の話と、ネット上での情報を天秤にかけて、子供に服用させるかどうか判断するというのが、普通に行われているようです。その一方で、病院については、利用者側からの口コミ情報が様々なサイトで徐々に蓄積されつつありますが、病院側からは、あまり発信されていませんね。また、口コミサイトで評判になっているのは、主にネットで診療予約のサービスを行っているような病院に偏っているようです。ユーザーとしての立場からも、是非、医療機関にもネットをうまく活用してもらいたいと思います。

(この記事を書いている間に、政府からIT戦略本部の新戦略骨子が発表されました。医療・介護領域でのICT活用が特徴、ということですが、これまで、き ちんと取り組んでこられなかったことの、裏返しですね。これを機会に、ネット活用が大きく進んでいくことを期待したいと思います。)