ad:tech 2011をふりかえって

今年のad:tech2011は、皆さん、いかがだったでしょうか?

当社にとっては新サービスsociobridgeの発表や、Razorfish会長のクラーク・コキッチのキーノートなど、例年になく、深いかかわり方をしていましたので、大勢のマーケティング関係者の方々が来場されたことは、非常にうれしく思っています。

私自身と言えば、ad:techには、これまで運営の裏方(初回開催時、電通におけるad:tech対応の事務方代表をやっておりました)、パネリストとして参加してきて、今回は、セッションのモデレーターも務めさせていただきました。
関係者の方々やスピーカーとして参加されている方々の話を聞いた印象も含めて感じたのは、過去のad:techと比べて、今年は、参加者の傾向が少し変わってきたようです。
Webやデジタルマーケティングに深くかかわっている方々だけではなく、広告主の宣伝やマーケティング部門、広告代理店の営業部門などへと、裾野が広がってきたようです。
これは、デジタルが、マーケティングのあらゆる領域に浸透しつつあることの裏返しかもしれません。

プログラム全体の印象としては、新しい概念や考え方を共有するような場面に遭遇することが、今一つありませんでした。
手前味噌ではありますが、RazorfishのClark Kokichのキーノートが、唯一これからのマーケティングに対する示唆と問題提起をおこなっていたぐらいで、全体的には、過去の課題の追認や教育的なアプローチによる情報の共有という面が強かったように思います。

もともと、ad:techは、海外では、教育的な面が強く、若手や経験の浅いデジタルマーケターが多く参加しているイベントです。
日本では、国際的なイベントがそれまでなかったことから、海外からの知見を国内に持ちこむ、あるいは、日本から海外へ発信しようという、日本独自の意向がこれまで強くあり、国内の経験豊富なマーケターにとっても、新しさを感じさせるものでした。
第1回目のジョシュ・バーノフやTokyo Innovationは、その企画意図のもとに成立していたのですが、ここにきて、展示会の拡大や、専門プログラムの幅がひろがったこととあいまって、そうした当初の特徴が薄まってしまったかもしれません。

私が担当した、クラウドのセッションは、今回のad:techの中で、もっともテクノロジー寄りでしたので、恐らく多くのマーケターの方には、気になるものの、少々とっつきにくい内容だと思っていました。案の定、会場は満席にはなりませんでしたが、逆に非常に熱心に聞かれている方が多いようにも思いました。
セッションの冒頭で、クラウドを活用されている方に挙手願いましたが、手が上がったのは1割ぐらいだったでしょうか。
そうした客層をふまえて、教育的な側面と、クラウドを活用することを後押しするようなプログラムに設計したのですが、こちらの意図が上手く伝わっていれば、嬉しい限りです。
特に、リクルートの川本さんのSUUMOの事例は、国内における先進的なものでしたので、会場の方々を多少なりとも刺激できたのではないかと思います(セッション終了後も、川本さんと名刺交換される方が多くいらっしゃいました)。

このイベントに関する、Tweetを開催中に眺めておりましたが、昨年と比べると、会場からの実況型は鳴りを潜め、参加者による感想Tweetが多かったように思います。
感想の中でも、キーノートやセッションのコンテンツではなく、ad:techという「お祭り」の場に参加していることに対する、喜びや感動を表明するものが多かった。
これは、こうしたリアルなイベントの在り方を考えるいい機会かもしれません。
過去2回と比べると、デジタルマーケティングに関する情報は、ネット上であまりに容易に共有することができるようになっています。
SlideShareやUstreamなど、カンファレンスに参加しなくても、リアルタイムにあるいは事後的にその内容に触れる機会が大変多くなっています。

また、国内だけでなく、海外のそうした情報も数多く流通しています。それゆえ、先にも書いたように、コンテンツ面での新しさを提供することは、非常に難しくなってきているのでしょう。 来場者もコンテンツよりも、この場に業界の方々が一堂に会して集うことの方に、より魅力を感じているのかと思います。 来年度のad:techが、どのような方向に向かうのか、まだ分かりませんが、情報のシェアの仕方が急速に変わっていく1年後、新機軸が打ち出されてくることを期待したいと思います。

なお、Clark Kokichのキーノートは、以下のMarkezineのレポートによくまとまっています。

『これからのマーケターや代理店の仕事は“認識”ではなく“現実”を変えること』  ad:tech tokyo 2日目基調講演レポート