情報サービスによるブランディング

ここ数年、広告会社あるいはエージェンシー(代理店)がやらなくてはいけない仕事として、クライアントの「サービス」開発支援、ということを考えています。
広告会社というのは、優れたプロダクツを持っているけれど、消費者あるいは顧客とのコミュニケーションがうまくいかないために、ビジネス上の成功をおさめられない場合に、最も力を発揮するものだと思っていますが、メディア環境の変化や消費者の情報接触に関する行動が変化する中、メディアを通じてメッセージを届けるといった単純な図式では、効果を失いつつあります。

むしろ、プロダクトにまつわる周辺サービスが優れていれば、ソーシャルメディアによってクチコミの伝播力が強まっている中、そのプロダクト自体を他と差別化することができるでしょう。周辺サービスの中でも、ネットをベースにした「情報サービス」は、考えようによっては、非常に導入しやすく、またユーザーの利用とともに進化させることが可能だという点で、今後、大きく広がってくると思います。

考えてみれば、iPodに対する、iTunesもそうしたサービスでした。Music Storeがスタートするまでの間は、完全に無料の周辺サービスだったわけで、Macと音楽プレーヤーをつなぎ、ユーザーに利便性を提供するものでした。今や、さまざまなデジタルデバイスに対して、ネットワークあるいはソフトウェアによるサービスが付加されるのは、当たり前ですが、ここ数年は、それ以外のプロダクツにおいても、この動きが目立ちます。
Nike+やadidasのmiCoach、Fiat500のecoDrive、CitiのBundle.comなど、様々な分野で見られるようになってきました。
Nike+は、R|GA、ecoDriveは、AKQA、Bundle.comは、Razorfishと、いずれもデジタルエージェンシーがそのサービスの開発には、深く関与しています。
また、今後は、スマートフォン上のアプリなどによって、こうした流れはさらに加速すると思います。

こうした「情報サービス」は、ブランドと消費者/顧客との関係を深める役割を果たします。

少し前に、Uniclockが、"Branded Utility"という考え方で、高く評価をされましたが、Uniclockの場合は、ファッションブランドということもあり、非常に緩やかに洗練された形での"Utility"だったと思います。おそらく、より関与度の高い商品ブランドにおいては、もっと直接的に「役に立つ」「便利だ」というサービスが提供されることになるでしょうし、そのサービス自体が、ブランドの差別化につながってくるのだと思います。

これからエージェンシーが担っていかなくてはいけない、重要な領域だと思います。