マレーシア初のユニコーンとウワサの「Grab(グラブ)」


先日、マレーシアやベトナム方面に出張する機会がありました。
そこで今回は、出張時に得た気付きとマレーシアで話題のプラットフォーム「Grab(グラブ)」について取り上げたいと思います。

マレーシア市場はちょっと難しい

じつは、マレーシアへの出張は初めてだったこともあり、事前に少しリサーチをしてみました。せっかくなので少しご紹介しましょう。
マレーシアの人口は約3,200万人(2017年マレーシア統計局)。
国民一人当たりのGDPは、シンガポール、ブルネイに次ぐ高さを誇っています。主に、原油・石油製品、パ-ム油やLNGといった資源の輸出で潤っているとともに、
欧米や日本の製造業が多く進出しています。サービス業では、観光産業が多いほか、医療や教育といった分野も成長産業になっています。

マレー系(約69%)、中国系(約23%)、インド系(約7%)という多民族国家としても知られており、イスラム教が61%と大多数を占めます。
が、仏教、儒教・道教、ヒンドゥー教(6.0%)、キリスト教(9.0%)ほか、地域に根ざした宗教もあるようです。
参考;外務省「マレーシア基礎データ

このように宗教や文化的背景が異なるひとが多いため、広告プロモーションの立場からすると、各属性に合わせた展開が必要になり、予算が分散しやすいマーケットと認識されています。
ひと言でいうと「統一した施策が打ちづらく、マスマーケティングがちょっと難しい」といったところです。

マレーシアのメディア事情

メディア事情も特徴的です。モバイル(スマートフォンやタブレットなど)の普及台数は4,000万台と言われ、国民ひとりあたり1.25台くらい所有しているという計算になります。
web利用や通話、動画視聴といった利用スタイルが浸透しているとの調査結果も出ていることから、典型的なモバイルファーストの国です。

そうした背景もあり、広告出稿もいわゆるマス媒体よりモバイルへの伸びが高くなっています。日本のようなTVやラジオ、新聞を中心にしたメディアの発展と普及が起こる前にモバイルベースのデジタルサービスが主流になった、ということなのでしょう。

特に人気のサービスは、Youtubeをトップに、WhatsAppやFacebook、InstagramやMessenger といった順だとか。Googleは頑張っているものの、Facebook関連サービスがマスメディアのようになっている、という様相です。月間のActive User数で見れば、人口3200万人に対して、Facebookで2,400万人にリーチできます。

Grab(グラブ)の発展から考えられる施策

こうしたモバイル・ファーストな国では、新たなプラットフォームも盛んに生まれてきます。そのなかでも注目株なのが「Grab(グラブ)」というアプリです。東南アジア版Uberみたいなもので、マレーシア初のユニコーンとの呼び声も高く、ソフトバンクほか、トヨタやホンダも出資企業に名を連ねています。

昨年、Uberの東南アジアのビジネスを買い取って、一気に配車アプリとしてトップの地位を確立した「Grab」。マレーシア国内で見れば、利用コストは安く、日本のタクシーの1/5〜1/6くらいに設定されています。そうした利用しやすさのほか、モータリゼーションが進んだ国ということもあって、現地の足としても親しまれているというわけです。

ちなみに、マレーシアでは自動車の配車アプリとして利用されていますが、ベトナムではお国柄か、バイクの配車アプリとしても利用されています。

さて、東南アジアの期待の星である「Grab」ですが、配車アプリとしてだけではなく、フードデリバリーや決済サービスも提供し始めています。マレーシアでもキャッシュレスはまだまだ普及途上なところがあるようですが、「これをカバーするのはGrabだろう」と目されています。実際に、決済をするとクーポンが付与されたり、ポイントが貯まったり、といった仕掛けもあるようです。今後のサービス拡充がますます期待されるところです。

こうした一つのドミナントなプラットフォームからマルチ展開するスーパーアプリは、中国はWeChat、タイでは日本同様LINE、というように国によって異なりますが、我々のクライアントであるブランドにとっては、カスタマーエクスペリエンスにおける重要な接点になり得ます。モバイルファーストであるほど、こうした接点の充実ぶりが加速していますので、こうした勢いがあるプラットフォームとは、ぜひ何か一緒におもしろいことをしたいものです。日本からアイディアを持ち込んで、現地のオフィスと組んで実現したいものです。そのことが、逆に日本での新しいサービス開発のヒントにつながるのではないかと思います。

そんなことを考えていたら、なんとGrabがJapan Taxiと組んで日本に進出するというニュースが飛び込んできました。アジアのユニコーンの動きも海外展開のスピードを増してきています。

「Grab」に限らず、海外にはこういったチャンスがまだまだ眠っていることでしょう。これからも、新しく誕生したサービスに注目し、ビジネスチャンスを探っていきたいと考えます。

CMOは悩んでいる〜「CMO survey 2019」〜

 

電通アイソバーも所属する電通イージス・ネットワークから、今年も「CMO survey 2019」が発表されました。全世界の1000名あまりのCMO(Chief Marketing Officer)にインタビュー調査した結果は、さまざまな示唆を与えてくれるものです。今回はこれについて、お伝えします。

 

マーケティング活動は成長のドライバー! だけれど…

「CMO survey 2019」の内容に踏み込む前に、McKinsey & Company社が発表した調査から、企業あるいはCEOからCMOがどのように評価されているのか、見ておきましょう。

調査によると、CEOの83%が「マーケティング活動は明らかに成長のドライバーだ」と考えているようです。一方で、23%が「社内のマーケティング組織は成長に向けての指針を示せていない」と回答したとあります。リンク 引用元:McKinsey & Company社

 

「CMO survey 2019」から読み解くCMOの悩み

では、会社の成長ドライバーとしての活躍を期待されるCMOはどのようなことを考え、どんな悩みを抱えているのでしょうか? 「CMO survey 2019」から読み解いていきましょう。

まず、CMOたちは、マーケティング活動はトランスフォーメーションやイノベーションのエンジンになり得ると信じ、79%が「社内のデジタル領域において、最適化ではなく、トランスフォーメーションを起こさなければならない」と考えているようです。また、80%が「自社の製品やソリューションのイノベーションに責任を持たなければならない」と強く感じているとの回答が得られました。

Source: Dentsu Aegis Network CMO Survey 2019

しかし、先述のようなCMOの意志やビジネス上の使命感、は必ずしも組織にとっての主要な役割とは見なされていないようです。

 

Source: Dentsu Aegis Network CMO Survey 2019

マーケティング活動やそれを担うCMOに対してより求められている成果は、ビジネスの成長につながるマーケティング活動や市場のトレンドや消費者心理を把握することであり、劇的なイノベーションやビジネスの転換への貢献はまだまだ優先度が低いようです。この意向からは、マーケティング部門が従来から期待されている役割に、縛られている印象を受けます。

では、CMOの悩みは、より深く具体的に見ていくと、どのようなものなのでしょうか。彼らの悩みは、仕事を進める上でのKPIの内容であり、これまでの戦略設計や考え方が時代に合わなくなってきたことであり、短期のROIに注目されすぎて長期戦略を描けなくなっていることだと読み取れます。

 

Source: Dentsu Aegis Network CMO Survey 2019

ちなみに、大手コンサルティンググループが出した調査結果によると、「長期戦略を描いている企業の方が、そうでない企業より5倍程度高い売上を得ている」とのこと。つまり、激変する世の中に応じてどんどん戦略を変えるよりも長期的な視点を持つ方が結果的に事業成長が実現されている、というわけです。

それにも関わらず、目先のことにとらわれ過ぎて、トランスフォーメーションやイノベーションに力を注がないとしたら、それは非常に残念なことです。

 

CMOに期待される新たな役割にエージェンシーはどう応えるか?

一方、マーケティング部門やCMOの役割が、より重要度を増してくる現在、CMOは社内において、CFOやCOO、CSOやCEOなどあらゆる“C”が付くひと達をインテグレートするよう期待されています。事業の根幹に関わる役割として、社内の様々な責任者と連携していくことが求められているのです。しかし、「CMO survey 2019」によると、実際にそれができていると感じているのは43%程度に留まっています。

 

では、そうした様々な悩みを抱えるCMOに、エージェンシーは何をすべきなのでしょうか?エージェンシーにも、多様な機能を統合したマーケティングサービスの提供が期待されるようになる昨今、今回の調査では、その実現にはまだ半数以上の人たちが信じていません。また、この点が、近年コンサルティングファームとエージェンシーがライバル関係になっている理由だと考えられます。それだけに、こうした期待に答えうる組織やサービスの開発が喫緊の課題でしょう。

*CMO survey 2019の資料ダウンロードはこちら

 

 

 

「超先進企業が駆使するデジタル戦略」Converge 日本語版刊行!

先週、日経BPより、「超先進企業が駆使するデジタル戦略〜 データ分析、SNS、クラウドで本当に強くなるための5大原則」という本が刊行されました。
この本は、昨年米国で出版された、RazorfishのCEO(当時)のボブ・ロードとCTOのレイ・ヴェレズの共著「Converge」の日本語版です。非常に大きなタイトルがついていますが、原著の「Converge」は、融合するという意味の動詞で、最近日本でもつかわれるコンバージェンスの類語でもあります。まさに、マーケティングとテクノロジーの融合がテーマです。

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