Instagramの戦略に学ぶ、Simple is best.

InstagramがFacebookに買収されることが発表されて以降、さまざまな記事を目にしました、13人で10億ドルという、一人あたりの企業価値に仰天したわけですが、CEOのケビン・シストロム氏がインタビューで語っている記事をみるにつけ、私たちのビジネスでも当てはまる、気づきがありました。

Instagramも、いきなり成功を収めたわけではなく、前身のBurbnという失敗アプリがありました。 FoursquareのHTML5版のようなアプリ、ということだそうですが、そこで提供された様々な機能の中から、シンプルに、写真を共有する楽しみを 提供するためだけのアプリとしてブラッシュアップされたのが、Instagramです。

サービスを開始し5か月後、FastCompanyへのインタビューでシストロム氏は、競争の激しいモバイルの世界では、30秒でそれが何なのか説明できるようにしなければならないと語っています。

”In the mobile context, you need to explain what you do in 30 seconds or less because people move on to the next shiny object.”

3か月で100万ダウンロードを記録するなど、順調にユーザー数を伸ばしていた時のコメントですが、機能を絞り込んで、分かりやすいメッセージとともにリリースできたことが成功要因ということなのでしょう。

実 際、Instagramは開発に当たり、対象機種をiPhone4に絞ったそうです。そこで成功しなければ、他のスマートフォンでも成功はありえない、と いう判断だったのでしょう。機種を絞り込んだことで、課題も明確になります。昨年秋のFuture of Mobileというカンファレンスで、彼は、写真を共有するアプリの開発において、3つの課題があったと語っています。「美しさ」、「スピード」 「複数プラットフォームでの共有」です。

カメラがいくら良くなったとはいえ、当時のiPhone4ですから、デジカメレベル ではありませんし、他にもカメラが優れていたスマホは幾らでもありました。また、写真においては、「美しさ」と「スピード」は相反します。解像度の高い方 が美しい写真をつくる可能性が高まるわけですが、写真の送信時間は長くなりますし、画像処理にも時間がかかります。Instagramは、ひとつのクリエ イティブジャンプでこれらを解決していきます。

iPhone4の最大解像度612×612にファイルサイズを合わせつつ、それでも 美しいとユーザーに想わせるために、あのノスタルジックなフィルター群を提供しました。ポラロイドをイメージさせる、ちょっと色焼けした、でも温かみのあ る雰囲気を加味するフィルターだけが、画像加工の機能として選ばれたわけです。正方形の形状を選んだという点も、含めて、サービスのブランドイメージの形 成に、これらは大きく寄与したと思います。

スピードという点では、このほかに、タグ付けしている間にもファイルを送信するなど、遅 さを感じさせない工夫もされています。プラットフォームの共有は今では他のアプリでも同レベルのものはあると思いますが、当時としては、簡単に複数プラッ トフォーム間を共有できるということ自体が優位性になっていました。

こうした、絞り込んだターゲット設定と、課題を削ぎ落してシン プルにすることは、我々のビジネスでも非常に重要なことです。プロジェクトが大きくなるほど、ステークホルダーが増え、その結果、解決すべきと思われる課 題が山盛りになってしまうことが、しばしばです。その結果として、本当にエンドユーザーにとって大切な課題が見えにくくなり、優先順位付けを誤ってしまう ことは、枚挙にいとまありません。Instagramの成功事例は、Simpleであることの大切さを改めて思い出させてくれました。