今年のad:tech tokyoを振り返って

5年目となって、定番となった、デジタルマーケティングの国際カンファレンス、ad:tech tokyoに今年も参加しました。私もアドバイザリーボードのメンバーなので、会場で配られた、タブロイド版のパンフレット向けに、インタビューされまして、事前にプログラムを見て、今年の見所はビッグデータ、データ分析だと話をしたのですが、来場された方々は、どのようにお感じになったでしょうか?

今年は、ソーシャルメディアから得られるデータを活用したマーケティングに関する話が、多かったと思います。特に印象的だったのは、Keynoteスピーチでの、TwitterのDeb Roy氏とMondelezのBonin Bough氏の話。
Chief Media Scientistである、Debは、リアルタイムで視聴されるテレビ番組とそこから発生するTwitterの拡散力について、大変優れたビジュアルを使って、説明してくれました。


プレゼンテーションで使われたビジュアルは、こんな感じです。

 

 

同じ番組が、オンディマンドなどで時間をかけて見られるのと、同時視聴された時とでは、視聴者Audienceの量では同じでも、そのインパクトは大きく異なります。

彼は、
メッセージの影響力=メディアの質量×社会的加速度
という方程式で、そのことを説明しましたが、背景にあるのは、ハーマン・エピングハウスの「時間の経過による記憶の低下(いわゆる忘却曲線)」とスタンリー・ミルグラムの「注意力は、周囲にいる目に見える集団によって誘導される」という考えだそうです。リアルタイムで、同じ番組を見ていることで、その番組に関するTweetが与える影響は、何倍にも大きくなるということで、我々が普段、テレビ番組を見ながら、Tweetしているシーン(特にスポーツイベントや「半沢直樹!」)を思い浮かべれば、納得感があります。これが、今では、どの程度の影響力を及ぼすか、計ることが出来ますし、さらに、これをマーケティングに活用することが出来ます。

※Deb Roy氏のプレゼンテーションの紹介については、以下の記事も参照してください。
     http://marketing.itmedia.co.jp/mm/articles/1309/19/news031.html

Bonin Bough氏の話の中では、その、まさに実践版というような事例の紹介がありました。
Tridentガムでは、FUSEという音楽チャンネル(日本で言うとスペースシャワーみたいなチャンネルでしょうか)とタイアップをしています。FUSEが毎日、音楽業界のトレンドをランキングで紹介する番組に、Tridentが協賛をしています。この番組、トレンドを計るのにTwitterを活用していて、日替わりで著名なミュージシャンたちのニュースが紹介されます。Tridentは、Twitterの技術を使って、これらのミュージシャンたちをフォローしているユーザーにメッセージを送ることができます。
(すでに米国でリリースされている、TV ad targeting on Twitterというサービスが使われています。こちらにビデオがあります。)

こうしたアプローチをとることで、ブランド側としては、ユーザーの興味関心をフックとしてメッセージを送るチャンスが得られます。今なお、視聴者のアテンションを引くという意味で大きな力を持つテレビとTwitterがシームレスにつながる環境が出てきたことで、企画次第で、非常にダイナミックなメッセージングのプランが出来るものだと思います。

Bonin氏は、これ以外にも、FB だけを活用して、10%売り上げが向上した、Nillaというブランドを紹介しましたが、幾つかのパネルディスカッションで、ソーシャルは売上に貢献するのか?といった議論に明確に答えていないセッションが目立つ中で、クロージングのKeynoteでズバリと言い終えてしまったのは、切れ味のいい、エンディングでした。

(Nillaについては、ソーシャル活用で有名なOreoよりも、遥かにエンゲージメントが高い、という分析もあります。http://www.womma.org/blog/2013/08/mondelez-biggest-social-media-superstar-isnt-oreo

今年のキーノートは、全て海外勢。昨年のYahoo! Japanのような日本発のスピーカーがいなかったのはちょっと残念でした。ただ、Facebook Japanの岩下社長のように、日米の差を感じさせないスピーカーの方もいらっしゃって、日米の時差は徐々に縮まってきた感じもします。来年は、もう少し日本からの情報発信が目立つといいですね。