全体最適を考えることが会社を強くする。では、全体最適とは?

経営者にとって、社員全員が会社の経営状況や全体が進む方向性に関心を持ち、当事者意識をもって積極的に日々の仕事を進めてくれるようになることは理想の姿です。

しかし、「社員一人ひとりにどうやってそのことを考えてもらうよう促すか」は、難しい課題でもあります。

 

そこで、ひとつの方法として、電通アイソバーでは、少しでも会社全体の動きを知るきっかけを得てもらえるよう、毎週月曜日に全員参加の朝会を実施しています。ここでは、先日話したスピーチについてご紹介したいと思います。

 

「出る杭=全体最適を考えている人」という発想

先日、元ソニーの方でコンサルティングをされている方の著書を読む機会があり、その中での「出る杭」の話に目が止まりました。

「『出るクイ』を求む!ーSONYは人を生かすー」

これは、ソニーが昭和44年に行った新聞広告のフレーズで、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長し、米国をはじめ海外市場に挑戦しようとする当時のSONYらしいキャッチコピーです。

日本では、「出る杭」と聞くと、他と異なる視点を持ち、ユニークな意見を提示したり、慣習にとらわれない推進力を持ち合わせる一方、組織の秩序をかき混ぜたり、慣習を度外視するためチームワークに摩擦を生じさせたりする存在にもなりうるとして、ポジティブな面とネガティブな面の双方のイメージがあるかと思います。

しかし、著者は少し違った視点で、「出る杭とは、全体最適を考えている人」と解釈をしています。

 

なぜ、全体最適を考える人が“異分子”になってしまうのか?

会社や組織が大きくなると、多くの場合、自分の受け持っている仕事以外が見えづらくなるものです。また、それを最適に進めようとするため、当然ながら「部分最適な考え方」になっていくものです。

 

そうした環境では、毛色の違った発言をする「出る杭」の存在は“異分子”のように感じてしまうかもしれません。しかし、もしその“異分子”の考え方が全体最適を目指したものであったなら、むしろ組織にとっては有益であると考えられるのではないでしょうか?

 

当時のソニーは、創業者である盛田さんの「Think Globally, Act Locally」という企業精神があり、これを言い換えて、全体最適を考えて部門で行動する、というようなカルチャーがあったようです。それゆえ、そうした自律的に行動できる「出る杭」を求めていたのだと感じました。私も、考え方には強く共感しますし、電通アイソバーも全体最適を目指して活発に議論する企業であってほしいと願っています。

 

全体最適を考えて行動するとはどういうことか

言葉だけで「全体最適を考えて行動する」と言われてもピンとこない人もいるかと思います。そこで、私のバックグラウンドを踏まえて、会社をオーケストラに見立てて考えを巡らせてみたいと思います。

 

会社がオーケストラとなると、指揮者は私であり、社員のみなさんは演奏者ということになります。

 

そこで質問です。

みなさんが「演奏者として大切にしないといけないこと」と考えるのは、次の3つのうちどれでしょうか?

1:楽譜を理解して暗譜する(楽譜の内容を完全に理解する)

2:指揮者の指示をひとつも見逃さずに捉え、従う

3:周りの団員の音に耳を傾ける

 

じつはこの質問には正解がありません。

ただ、一流になればなるほど「3が大事」と答えるのではないかと私は考えます。

 

ひとつ例を挙げてみましょう。

クラシック好きでなくても、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団やベルリン・フィルハーモニー管弦楽団という名前は聞いたことがあるかと思います。

世界的に有名な楽団ですが、これらは別名「指揮者泣かせ」と言われています。

それというのも、楽団には独自の持ち味や音色があるので、にわかに招聘された指揮者にはその良さを引き出すのが難しいからだそうです。

 

そうした強い個性やカラーを作り出せているというのは、裏を返せば、指揮者に頼らずとも団員が自らの組織を強くし、カラーを自律的に生み出している証拠だと言えるでしょう。

 

この背景には、記されている楽譜の内容も音やリズムでさえも異なる中で、他の楽器がどんな旋律を奏でているか注意深く聞き、全体にとって最適な演奏をしている、という事実があります。

 

これを再び会社の話に置き換えると、

他のひとの強みやどんなことに取り組んでいるのかを普段の仕事を通じて知り、関心を持っていれば、全体は最適化して事が進んでいく、と考えられるのではないでしょうか。

 

現在、幹部メンバーには外部の研修機関で「会社全体の経営がどうなっているか?」を考える機会を持ってもらっていますが、そうしたことを考えるのは幹部だけの仕事ではありません。

ぜひ、みなさんにも同じように考えてもらえたら、と願っています。

 

その中で「こう仕事を進めた方がいいのではないか?」といった意見が出てきたら積極的に議論してほしいと思いますし、「社長に意見したい!」というのも大歓迎です。よろしくお願い致します。