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2018.08.29

Isobar Global CEO、 Jean Linが電通主催のダイバーシティセッションに登壇しました

8月22日(水)、 Isobar Global CEO、Jean Linの来日に合わせ、電通主催のダイバーシティをテーマとしたインターナル向けセッションが開催されました。「電通女性へのエンパワーメントメッセージ」として、本社を含め、グループ会社の女性管理職を対象とした講演をいたしましたので、その内容をご紹介させていただきます。

今日、ダイバーシティとインクルージョンは、日本やアジアだけではなく世界的に直面している重要な課題です。性別だけでなく、文化や言語、信条や政治的な考えなど、様々なものが含まれるので、決して簡単に克服できる課題ではありませんが、私は個人的に、熱意をもってこのテーマに取り組みたいと考えています。というのも、私はイノベーションを大切にしており、どのような組織であっても、ダイバーシティのみがイノベーションを推進できる要素であると考えているからです。

自分が楽しめることをする

自分のことを話すのはあまり好きではないのですが、グローバルの仕事をはじめてから、2,000人の組織が6,500人になったことで、自分自身のことを聞かれる機会が多くなってきたので、あえてお話させていただきます。

私はJean Linです。
台湾で生まれ、犬が2匹と、猫が2匹、子供が2人いますが、夫は1人だけです。
1999年にデジタルコンサル及びマーケティングのビジネスを立ち上げ、2004年にイージスメディアに売却しました。2009年にアイソバーのグローバル戦略を担当するようになり、2010年にAPACの担当になりました。電通がイージスメディアを買収したことにより、今は皆さんと同じグループに属しています。

私自身はCEOになりたいと思ったことは一度も無く、いつも自分が楽しめることをしたい、それが常に目標でした。ビジネスを立ち上げたのは、1人目の子どもの産休中のことでした。しかし、中国や台湾には迷信のようなものがあり、出産をするとき、1か月間は何もしてはいけないとされているのです。髪を洗うことも、手を水で洗ってもいけない。食生活も限定されています。我が家では特に母が迷信深く、家でずっと何もしないよう監視されていました。私は本も無い部屋に逃れ、コンピューターでやりたことをやっていましたが、母はまさかコンピューターですべてができるとは思っていなかったはずです。当時、私は広告会社に勤めており、マーケティングコミュニケーション業界を変えたい、大々的なディスラプションを起こしたいと、ずっと考えていました。

女性である前に、まずひとりの人間であること

産休中はオンラインで友達をつくり、様々なアイデアを交換するうちに、当時勤めていた広告会社でいっしょに働きたいと思うようになりました。テクノロジー系の友人たちを誘うと、広告会社で働くことは想像できないけれど、あなたが自分で事業を立ち上げてくれるならばいっしょに働いてもいいよと言いました。29日前に子どもを生んだばかりで、最初はまったく起業など考えてもいなかったのですが、夫に話したら「やったらいいじゃない。いつも君が僕に言うように、唯一の限界は自分自身だよ」と後押ししてくれました。
私はまず会社を辞め、サンフランシスコのアドテックのカンファレンスに参加して構想を練りました。自分で組織を立ち上げるのであれば、まず中心にはデータと知識があってほしい。そのまわりにテクノロジーとクリエーティビティーとメディアを使って新しい経験ができないものか、思い描いたことを紙ナプキンに書いていました。すると、たまたま隣に座った人が「面白そうだね。正式にビジネスプランを考えてくれたら投資ができるか考えるよ。」と話しかけてくれました。ちょうど市場の景気が良かった頃の話です。

そこで私は、小さい頃に父に言われたことを思い出しました。「あなたはまず女性である前にひとりの人間なんだ」と。女性であって、ひとりの人間なのでは無く、まず人間であってそのあとに女性というものがついてくるのだ。より賢い女性になろうとするのではなく、より良いひとりの人間になるようにと。
こうして私は起業しました。
メンバーは6人で、そのうち5人がネットで知り合った人たちです。

ワークライフバランスとクリエーティビティ―

世界中の女性と話をすると、キャリアを選ぶかプライベートを選ぶかという悩みに直面している人が多いようです。
しかし、それらの間には本当にはっきりとした境界線があるのだろうか、と疑問に思います。
確かに自分の夢を追求しようとすると、母親としての役割を十分果たしていないという罪悪感があります。私自身もそういう考えを持っていましたが、考えを変えるきっかけとなった出来事がありました。

ある土曜のこと。私はすごく疲れていてようやく昼頃に起きると、子どもたちはリビングで遊んでいました。当時3歳だった娘が、「なぜうちのお母さんは他のお母さんのように、幼稚園に迎えに来たり、仕事をしないで家で待っていてくれないのか」と、4歳半離れた息子に聞いていました。息子はこう言いました。「もしお母さんが毎日家にいたら、きっと飽き飽きしているでしょうし、お母さんもずっとつまらなそうな顔をしているでしょう。お母さんにはハッピーでいてほしいし、外で働いているからこそ、いろいろおもしろい話も聞けるんだよ」。
この一件から、私は自分の罪悪感をリセットすることができました。良い母親ではなく、自分自身がハッピーにならなければならない。ワークライフバランスとは、ひとつの天秤の両端におもりがあってバランスをとるということではなく、マルの中にすべての要素が収まって100%になることなのではないかと。

やり方は違っても、同じ結果を生む方法を編み出すことはできます。たとえば、私は出張で子どもたちに毎晩本を読んであげられなくなった時、娘と息子だけのためのブログを立ち上げました。移動中にコンテンツを考え、子供たちにコメントしてもらうという仕組みです。我々はビジネスでクリエーティビティーを提供しているので、それをプライベートにもいかしたらどうでしょうか。

「共感」と「エンパワーメント」

世界中どこにいても、女性、キャリア、ワークライフバランスは共通の課題だと思います。誰の人生にとっても複雑な問題だとは思いますが、実は答えはシンプルです。答えのカギは、皆さん自身の中にあるのです。自分が信じていることに忠実になり、クリエーティブなソリューションを考え出すべきです。
「自分がやりたいことをやる=わがまま」ではありません。まず自分が本当になりたい自分になる。そしてエンジョイして、パートナーや家族もより良い自分になれるよう、貢献する。
周りとどうコミュニケーションして、理解し協力してもらうか。自分に対する「共感」と同時に、周りの人たちに対する「共感」を忘れてはいけません。自分がやりたいことを可能にする「エンパワーメント」であると同時に、周りの人がやりたいことも「エンパワーメント」する。そういう考え方が、新しい経済、新しい社会をつくりあげることになるのだと思います。

世界中の多くの女性の同僚は、「完璧でなければならないシンドローム」にかかっているようです。しかし、パーフェクトであることよりも、信頼性があることが大切です。私自身、母親としては完璧ではないかもしれないけれど、信頼性は十分備わっている母親だと思います。周りのみんなが友達になりたいと思える人間であることが「共感」を生み、「エンパワーメント」につながるのです。
自分の熱意と直感を信じてください。そして女性であることで、やりたいことをあきらめないでください。
より賢い女性になろうとするのではなく、より良いひとりの人間になろうとしてください。