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2020.5.28

アフター・コロナあるいはウィズ・コロナ時代が加速するデジタルトランスフォーメーション

新型コロナウイルスはありとあらゆる場面に多大な影響を及ぼしています。

アフター・コロナあるいはウィズ・コロナと呼ばれる時代に直面し、企業は現状を冷静に判断し、「次の事業展開をどのように描いていくか」というテーマに本腰を入れて目を向け始めていますが、日本よりもデジタルトランスフォーメーションが進んでいる米国の状況について、見てみたいと思います。

米国の調査機関であるForrester社が、コロナによって企業のマーケティングへの投資がどのように影響を受けるかを予測した、レポートを発表しました。

このレポートでは、景気回復が実現するタイミングを3つの異なるシナリオに沿って、予測をしていますが、以下は、最も楽観的と思われる2020年終盤には回復するというシナリオに沿ったものです。

まず、広告への投資は、今年2割減となり、来年以降も2019年時点の水準まで戻ることはありません。そしてその内訳をみると、最もダメージを受けるのが、オフラインメディア。逆に回復が早いのがソーシャルをはじめとしたオンラインメディアです。

景気先行きの不透明感から、広告への投資に慎重になることが予想されるものの、この削減幅の大きさは、衝撃的です。ちなみに、回復にさらに1年かかるというシナリオにおいては、この削減幅は、より大きくなります。

ただし、企業側はすべての予算を削減するというわけでもなさそうです。 マーケティングテクノロジーの分野においては、一時的に予算が減少するものの、来年からは増加に転じます。特に、マーケティングオートメーションやデータ分析の領域は今年も投資が増えていきます。アドテクノロジーの分野は、広告投資と連動していくと予想されています。また、これまでインハウス化されてきたwebサイトやソーシャルメディアの運用業務について、先行き不透明な中、社内組織の拡大を躊躇する動きになり、アウトソーシングが再び増加するだろう、との見方も示されています。

これらは、多くの企業が「より明確に投資効果が見込める分野に予算を振り分けていこう」と、投資の優先順位付けが変わっていく、また、コロナの影響によって製造業分野で自動化・ロボット化がさらに進行しているように、マーケティング分野においてもデータを活用した自動化の流れは加速していくためでしょう。こうした流れによって、マーケティング分野におけるデジタルトランスフォーメーションは、急速に進んでいくことになりそうです。

実際に、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは4月末の決算報告のスピーチのなかで「この2ヶ月で2年分のデジタル改革が行なわれた」との発言をしています。これは、デジタルトランスフォーメーション推進に向けた企業のクラウドシフトなどの基盤再構築や、Work From Home(最近は、Work From Anywhereとも言われるようです) など働き方の変化に伴うオンライン業務ツール導入を急速に進めていることの証左と言えるでしょう。

ちなみに、この2―3ヶ月の間で、特定の業務や業界に深くフォーカスしたSaas企業が大きく業績を伸ばしているのも同様の流れです。大規模なソリューションの導入には時間がかかるものの、Saasによるポイントソリューションはコストや導入の容易さから、短期的にビジネスが急拡大していますが、おそらくこの流れから、企業は複数のSaasソリューションを組み合わせて使いこなす方向で、デジタルトランスフォーメーションを推進していくことになるかと思います。その点からは、今後、複数のSaasソリューションを如何に組み合わせて、企業にとって最適な仕組みにしていくか、その優劣が問われそうです。

もちろん、この流れは、米国だけでなく日本でもすでに起こり始めているのは、いうまでもありません。身の回りでも、テレワーク下に円滑な社内コミュニケーションを可能にするためにツールを導入したり、オンライン会議の環境づくり等が積極的に行なわれるといったデジタルトランスフォーメーションへの第一歩は始まっていますし、また、それは社内環境だけでなく、これまで手探りで続けてきたeコマースに本格的に打って出る、といったビジネス領域でも変化が始まっていると推察します。

日本の場合、よく言われる「おもてなし」に代表されるように、優れたヒューマンタッチが顧客体験を秀逸なものにしてきた面があります。例えば日本ほど店舗の接客が洗練され、高い顧客満足を与えられる国は無いと思いますし、システムや仕組みに不備があっても、それを人間がカバーするということで、結果的に優れた成果を生み出してきたのでは無いかと思います。しかし、After/With コロナの環境下においては、この日本の優位性が損なわれる面があるわけで、それを如何にデジタルで補うか、知恵の出しどころだと思います。

3密を避けるといった行動様式が、オンラインとオフラインの役割分担の見直しにつながり、それらをトータルで考えた上で、顧客体験はどうあるべきか、デジタルテクノロジーを駆使して再構築すること(=デジタルトランスフォーメーション)が、多くの企業にとっての課題であり、私たちもその解決を支援して参りたいと思います。

参考資料 クリエイティブエクスペリエンス:CXの進化

得丸英俊 Hidetoshi Tokumaru

電通アイソバー株式会社 代表取締役社長(CEO)
電通入社後、営業局勤務を経て、1990年代後半より、デジタル領域にフォーカスしたマーケティングプランナーに。その後、電通グループのベンチャーキャピタルや外資インタラクティブエージェンシーとのJVなどの役員等を歴任し、2009年11月より、当時の電通レイザーフィッシュ(現・電通アイソバー)代表取締役社長に就任、現在に至る。ボーダレスに広がるデジタルマーケティング領域におけるエージェンシーのあり方を探求、グローバルデジタルエージェンシーIsobarの日本法人をリードする。

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