急速に進化する、アジアのデジタルマーケティング

先日、Nikkei Asian Review主催のセミナーに登壇させていただきました。
アジアにおける、デジタルマーケティングは、経済発展とともに急速に進化しているのですが、日本のマーケターの皆さんが、そのことをあまり意識されていないのではないか、という危機感から、お話をさせていただきました。

どうも、デジタルというと、米国を先行事例として学ぶということが、これまでの慣例でしたので、なかなかアジアの動向に目が向かない。インバウンドや越境ECといった日本国内から見えやすい現象には注目が集まりますが、部分的な見方しかされていない印象があります。
マクロ的な統計で見ると、まず驚かされるのが、日本よりもデジタルシフトが急速に進んでいる点です。広告費で見ると、日本のデジタル比率は3割に満たないですが、例えば中国ではすでに6割、台湾でも4割近くがデジタル広告費です。2021年には、中国では、7割を超え、台湾でも5割を超えると予想されていますが、逆に日本では3割を少し超える程度と、変化はゆっくりだと予想されています(eMarketerの予想)。
そして、ECの普及という点で、アジアは世界をリードしています。一般消費財におけるECの利用率は、APAC全体ではすでに15%を超え、北米やヨーロッパの普及率の倍の水準です。APACの中には、オーストラリアや日本も含まれますが、両国ともEC化率は7%台で欧米並み。その一方、中国は23%。韓国が16%と市場をリードしています。ECの内訳をみると、モバイルの比率が高いのも、アジアの特徴で、ECにおけるモバイルの比率は、インド、中国、韓国では6-7割と、非常に高くなっています。
インターネットがモバイルの普及とともに浸透していった新興国市場では、モバイル、ソーシャルメディア、EC(特にモバイルコマース)が足並みを揃えて利用者を増やしており、固定回線+PCでネット環境が整備されて来た先進国とは、大きく異なる発展を遂げています。モビリティ、コスト面でのフレキシビリティ(プリペイドでも使えるとか、FreeWifiとか)、ソーシャルメディアとの深い連携など、インターネットの普及を加速させる要素が詰まっていたわけですが、メディア環境が未成熟であった故に、その活用度合いは、先進国を凌駕する勢いです。
この背景には、①アジア発のDigital Disruptorの存在、②アジア各国の国家戦略、③ミレニアル世代の存在感といったことがあげられるかと思います。
すでにアジアには、巨大な中国市場を背景にBAT(Baido, Alibaba, Tencent)といった企業価値でも世界トップレベルのネット企業が存在し、それに続くように、多くのユニコーン企業が存在しています。中国におけるユニコーンの数は、米国に匹敵する規模になっていますし、BATのような先輩格の企業が多くのスタートアップに出資し、彼らの成長を支援しています。
こうした企業群の成長の背景には、国家戦略としてデジタルインフラの整備やスタートアップ企業の育成を政府が掲げている、ということがあります。かつて日本でもe-Japan構想というのがありましたが、中国やインドでは、デジタルインフラの整備が国主導で行われていますし、ベトナムではIT人材育成、シンガポールではスタートアップ育成が強力に推し進められています。日本では、ここ最近、国の戦略としてITやデジタルというテーマが掲げられることが無くなってしまいましたが、その間にアジアの環境はトップダウンで変わろうとしています。
消費者の側に目を転じると、アジア各国では、いわゆるミレニアル世代が人口構成の約3割を占め、デジタルネイティブとしてデジタル化された消費生活を積極的に需要し、ユニコーンやスタートアップの成長を支えています。日本では、ミレニアル世代は17-8%程度と見られ、今後の景気の先行き感や所得水準が上がりにくい環境から国内消費を必ずしもリードしていないわけで、日本国内にいると、その影響度合いをイメージすることが難しいかもしれません。アジアでは、経済発展とともに所得水準も向上し、モバイルインターネットで海外の情報にも触れ、モバイルコマースを活用し、海外旅行も積極的に楽しんでいる世代でもあります。ソーシャル上でもアクティブであり、日本のマスメディアのような伝統的メディアが未成熟であった環境からの変化を考えると、飛躍的に情報消費量も拡大しているはずです。

こうした環境に向けて、日本企業がマーケティングを行っていくのであれば、日本と比べて、相当にデジタルに注力をすべきでしょう。モバイルファーストは言うまでもありませんし、ソーシャルの影響力の大きさを十分認識しなければ、マーケティング予算を無駄に消費することになります。新しいテクノロジーへの受容性も日本より高く、それ故、ありふれた手法のデジタルコミュニケーションでは埋もれてしまうかもしれません。
Isobarは、日本を含めアジアの11の国と地域に合わせて約2800名のスタッフがおり、各国でグローバル企業、ローカル企業の双方に対してデジタルマーケティングの支援を行なっていますので、オフィス間のネットワークを活用しながら、それぞれの市場の状況を踏まえた戦略立案・コミュニケーションプランニング等の支援を日本の皆様にもご提供していきたいと思っています。

電通iX 始動、そして多様性のあるグローバルへ

いよいよ本日から、新ブランドで会社がスタートしました。
朝一の全社ミーティングでは、電通グループのデジタル&グローバル戦略について社員に改めて説明をし、今後私たちが期待される役割と、世界中のネットワークによって広がるビジネスの可能性について、話をしました。
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5月の末にPublicisとの合弁解消を発表して以降、Isobarや360iなど海外のネットワークの経営陣と会話をスタートさせたのですが、こちらが思っている以上に、先方の期待感が大きく、ちょっと驚いています。Razorfishと長らく仕事をしてきたイメージが、プラスに働いているのだと思うのですが、逆にその期待に応えていかねば、と気合いも入ります。
世界を見渡すと、国毎にデジタルマーケティングの置かれているコンディションは様々で、中国に行けば、ソーシャルを軸としてキャンペーンを設計するのが当たり前ですし、米国なら、Razorfishでも経験しましたが、企業の統合的なマーケティングプラットフォームの構築を支援するようなビジネスが非常に重要になっています。欧州では国をまたいでプランニングするのが普通なのが、東南アジアでも広がってきていますし、メディア環境や生活者のデジタルリテラシー、インフラなど様々な前提条件の違いが、多様性を生み出しています。
最近思うのは、その事を理解、認識できる事が、非常に重要なのではないか、ということです。
かつては、タイムマシン経営ではありませんが、米国発のマーケティング手法が数年遅れで日本でやってくるので、米国を見ていれば、OKという感じがありましたが、それも今や、昔の事のような気がします。ネットのインフラやメディア環境の変化は、新興国ほど急激で、そのことが、生活者の消費行動をドラスティックに変化させ、そうした中で計画されるデジタルマーケティングの方に、新たなアイディアのヒントが隠れていたりするのではないか、と感じます。
今日の新たな船出とともに、電通iXでは、日本を起点に、真にグローバルなデジタルソリューションを提供できる体制を整備して参りたいと思います。

Razorfish 2年連続でAd AgeのAgency A-Listに選出

毎年恒例のAdvertising AgeのAgency A-Listに、昨年に引き続き、Razorfishが選出されました。Agency A-Listは、過去1年に活躍したAgency10傑ということで、Advertising Ageが発表するものですが、今年のリストを見ていて、デジタル/インタラクティブ系のAgencyが今年は多いことに驚きました。Razorfish同様、360i、R/GAがリスト入りし、また新興のクリエイティブエージェンシーとして、インタラクティブにも秀でている、Droga5など、従来のAgencyとデジタル/インタラクティブAgencyの垣根が本当になくなってきたな、と感じます。

試しに、当社が現在のJVとなった、2007年のA-Listと比較をしてみました。

(さらに…)