IoTとAIで何が変わる

当社では、毎週月曜日の朝に、「朝会」という全社会議をやっています。私も毎週、5分程度(実際には、しばしば10分ぐらい話してしまうのですが)の話をするのですが、このところしばしばテーマにあがるのが、IoTとAIです。
我々のビジネスの周辺には、新しいテクノロジーが次々と押し寄せてきますが、その中で、マーケティング領域に本質的な変化をもたらすものとして、IoTとAIについては、きちんとした理解をしておく必要があると思っています。
表層的な技術によるインパクトは様々ですが、IoTとAIによってもたらされる変化をなるべくシンプルにまとめると、こんなことかと思っています。
  • モノが常時、インターネットに繋がる
  • モノだけではなく、ウェアラブルなど周囲の様々なデバイスにより、人も常時繋がる(Internet of humanとか Human internet of thingsとも言われる)
  • 大量のセンサーがばらまかれることで、大量のデータがネットワークで流通する
  • 大量のデータをさばくために、AIが活躍する
  • ある程度のインタラクションは、AIが人の前さばきをする
もう少しイメージを膨らませてみましょう。
モノやヒトが、常時繋がることがどの程度インパクトあるかと想像してみると、インターネットが、ダイアルアップから常時接続になって、我々の情報環境が一変したようなことが起きてくるのだと思います。
当時、ネット上での様々なサービスがプル型からプッシュ型に変わってきたように、モノが我々の行動を促すようなことがおきてくる。冷蔵庫の残り物からメニューを提案するといった、「インターネット冷蔵庫」のアイディアは、10数年前からありましたが、現実性を帯びてきますし、エアコン、洗濯機、掃除機といった白物家電は自動化を進めつつ、ユーザーのフィードバックを受けながら更に機能を向上させて行く可能性があります(もちろん、コストと提供される価値のバランスの中で変わってくるのだと思いますが)。
車や家といった、高額な耐久消費財においても常時接続は大きなインパクトをもたらすはずです。単価が高い商品だけに、手を加えやすい。またモノを売るだけでなく、その後のサービスもセットされて消費されることが主流の商品ですから、尚更です。
IoT
IoTにはセンサーが不可欠ですが、センサーの発達・普及によって、収集できるデータの種類や質が大きく拡大するということも見逃せません。従来取れていなかったデータがとれることで、これまで見えていなかったことが「見える化」するわけです。
ヘルスケアの分野で考えてみましょう。普段、年1回の健康診断を受けている人が、ウェアラブルなどで常時健康状態をモニタリングできるようになれば、どうでしょう?何か異常がおこれば即時に発見することが出来る。重い病気の発見が早まり早期治療が実現、医療全体の在り方を変えることになります。また、データを点ではなく、線でみることができるようになり、それまで分からなかった因果関係が見えてくるということもあるでしょう。こうしたことが、医療判断の精度を高めることになります。
IoTによって、かつて無いほどのデータが流通することになりますが、そうなると、それらを処理し分析することも一苦労。そこで、AIの活躍が不可欠になります。考えてみれば、機械学習は大量のデータの存在が前提としてあって、それらをインプットすることで人工知能は賢くなっていきます。インターネット以降の大量データの発生が現在のAIの進化とブームの背景にあるようですが、このAIブームは、IoT時代になって、いよいよ本格化してくるはずです。
そして、進化したAIは、コミュニケーションの領域でも、更に活躍の場を拡げ、botに代表されるようなユーザーインターフェイスの裏側を支える存在として、不可欠のものになっていくはずです。我々が日常使っているあらゆる家電製品の中にマイコンが入っているように、スクリーン、音声を問わず、UIの中にはAIが仕込まれているのが当たり前になるまでに、そう時間はかからないでしょう。
こうした新しい技術トレンドがマーケティング・コミュニケーションにどういった影響をあたえるのか、マーケターは常にアンテナを張り、本質的な理解を深める必要があると思います。